合格体験記

不動産鑑定士試験合格を目指して勉強されている方の多くは、一度は先人の合格体験記なるものを読んだことがあるかと思います。かくいう私も勉強中には何度か読んだことがあります。予備校が提供してくれるものもありましたし、早稲田セミナーが出している㎡(エムツー)なる鑑定士試験の雑誌が勉強していた図書館にあってそこにもよく、合格体験記が載っていたので必ず全部読んでいました。


合格体験記については成功事例を収集して自分なりの勉強法を確立するという意味では非常に有益な面もあります。
しかし、合格者がとっていた勉強方法が必ずしも「正しい」わけではないことには注意が必要ではないでしょうか。


私はLECからの合格体験記の依頼を断ったのですが、それは私の受験パターンが一般的ではなく、とても理想的なものとは思えず、これを今から目指す方々に発表することに意味はないと思ったからです。


結果が良かったからといって、手段がすべて正しかったわけではありません。
合格者の方であっても、より良い手段をとっていればもっと楽に合格できたかもしれないのです。
私の場合は比較的短期間で合格しましたが、運がよかっただけだと思っていますし、私の勉強方法がすばらしかったとはとても思えません。


たとえば私は論文試験の過去問を一切やっていません。それは10ヶ月という短い期間で短答、論文の両試験の勉強をするのには過去問をやっている暇がなかったからです。

もし私が合格体験記を書いて、「過去問はやってません」なんて書いた場合、ひょっとしたらそれが「いい勉強法」ととられかねません。しかし本当は時間がなかっただけのことであり、できるのならばやったほうが合格の可能性は上がったかもしれないのです。

合格体験記から自分のポリシーや受験スタイルにあった情報を峻別し、鵜呑みにするのではなく、参考にしながら自分なりの勉強方法を確立していくことができる方が、合格に近づいていくのではないでしょうか。