理論と実務のギャップ

不動産鑑定士試験の勉強をしているころから、鑑定評価の理論と実務に関してはいろいろと考えることがありました。
このブログにもいくつかそのような記事があります。
実際に鑑定の実務(の補助)をやってみて、ギャップはかなりあると感じます。
もちろん鑑定評価基準が鑑定評価のよりどころであり、それに忠実に作業を進めるわけですが、現実はすべてがその通りにはいきません。

事例の収集と選択の作業でいうならば、選択の4要件を(厳密には)満たしていないものを使用しているのでは?と思うことがあります。
「思う」と書いたのは私自身が素人過ぎて判断ができないからなのですが。
例えば、鑑定士試験の鑑定理論(演習)の中で、取引事例の選択をさせるケースがありますが、このときに特別な事情を含む事例は、事情がない場合の取引価格に補正することができることが必要で、「何パーセント高く買った」とかそういう情報が取れなければ選択してはいけません。

しかし実際には親族の隣に住むために買った土地で、買い進んでいるのでは?と思われるような事例で明確な補正率がわからなくても事例に用いているような気がします。もちろん補正はするのだと思いますが、その度合いなどは鑑定士が判断すると思われます。

もちろんその判断に責任が取れるからそのようにしているのですが、やはり試験(理論)と実務は違うなと感じます。

試験で、
「買い進んだ事例である。その度合いについて詳細は不明であるが、20%と想像される」
と書いてあったら、あなたはこの事例採用しますか?