修了考査論文課題で最後までわからなかったこと

指定類型実地演習の細分化類型等が高度利用賃貸の鑑定評価の条件として、想定上の付加条件を付ける場合の留意点について述べなさい

これは第2回修了考査の論文テーマです。

やや難解な感がありますが、要するに
「高度利用賃貸の鑑定評価をする際に、想定上の付加条件を付ける場合の留意点」
を聞かれています。

すると、まず考えなければいけないことは「高度利用賃貸」とは何ぞや、ということ。

もちろん修習生なら実地演習の課題となる類型であるし、大体わかっています。ただ、論文テーマのキーとなる用語ですから、改めて実務修習の用語の定義から引用します。

都市計画法上の用途地域が商業地域で指定容積率が500%以上の地域にあり、かつ、専用面積の過半が賃貸(空室で賃貸可能な部分を含む)に供されている建築物

実地演習で「高度利用賃貸」の課題をやるときにもちょっと引っかかっていたのですが、この定義では不動産の存する地域についての規定(用途地域:商業地域、指定容積:500%以上)、不動産の利用状況についての規定(過半が賃貸)はされているものの、不動産の規模については特に制限がありません。(中・高層であるとか、容積の何%をつかっていること、とか)

私が修習をしている地域では、指定容積500%の商業地域に、低層の店舗なんかが普通にあるんですが、これが例えば賃貸物件だった場合、定義を厳密に当てはめると「高度利用賃貸」といっていいことになると思います。

「いや、普通に考えてそれは違うだろ!」というツッコミはもちろん理解できます。「高度利用賃貸」と言えばある程度高層の商業ビル、500%の容積のうち、そうですね、80%ぐらいは使ってないと、というイメージです。
それは私もそうです。

実地演習の課題では指導鑑定士がそういう物件を選定してくださったので、もちろん低層のコンビニなんてやってません(笑)

ただ、それは個人的に「高度利用賃貸」という言葉の響きからイメージするものであって、定義を一つ一つ拾っていくと、上記のような低層貸し店舗も当てはまってしまうのでは?と思うのですが違うのでしょうか。

この点、論文テーマとして「高度利用賃貸について」と聞かれたときに、定義では「高度利用可能な地域にある賃貸不動産」としか言っていないのに、勝手に「現況、高度利用にある商業ビル」のようなイメージで解釈し、書いてしまっていいのかは、結構悩みました。(この辺は私が変わっているのだと思いますが。)

結局最後まで、その辺はわからず、上記の感覚的な「高度利用賃貸」の定義に当てはめて論文は書いたのですが(そうしないと書けなかった)、実は地域的な限定(用途地域が商業地域で指定容積500%)に大きな意味があったりしたら?というのはちょっと引っかかりました。(周りからの情報でそれは無いことは99%わかりつつですが。)

修習生の方は特にその辺で悩むようなことは無かったのでしょうか?やはり私がこだわりすぎだったのでしょうか?

*この話とからんで、実は実務修習における「高度利用賃貸」の定義について、指定容積だけではなく、現況不動産の使用容積率に関しても指定があったはず、という情報を聞いたのですが、私自身色々な通達などを確認したのですが見当たらずでした。それが事実だとすると通知を見逃して恐ろしいミスをするところでした。