〔貸家及びその敷地の積算価格〕

・・以下の文章はかなり荒い部分があります。いつか書き直そうと思いますが、この文章もこのまま残します。
・・大きな勘違いあり削除・訂正しました。結論は変わってません。

貸家及びその敷地の鑑定評価において、建物及びその敷地の経済価値に即応する適正な賃料が徴収されている場合、積算価格は上限値たる意義を有するか

ご提起の問題について以下私なりに考えた経路です。(長くてスミマセン)

■まず、貸家の積算価格と自用の積算価格の関係を私なりに整理
積算価格において「貸家>自用」となるということは、再調達原価は変わりませんから(よね?)「自用であること」によって減価が発生することになります。貸家2件の間で積算価格に差が発生するならまだしも、貸家と自用ではそれはありえないと私は理解しています。それともここの理解が足りないのでしょうか。環境に不適合とかで自用であるがゆえに減価されたりするのでしょうか。。? (どっちにしても適正な賃料しか取れないのが前提なんだから、それもないはず。)
TACが問題70(3)を修正したことでここは私の理解が正しいと思っているのですが。また要説のP.281の6行目から11行目前段の記述は積算価格についての記述ではないと思っています。

そして、貸家の積算価格では、借家人が居付の状態であることによる減価を考慮しないため自用と比べて貸家が低くなるということも無いと思っています。(賃料が安すぎるなどは除外です、適正な賃料が前提ですから。)

ここで私の1つの認識を提示します。
「適正な賃料を前提とする場合、貸家の積算=自用の積算」(ここで理論破綻か(笑))

■つぎに『適正な賃料が徴収されている場合の、貸家の価格(積算でなく)と自用の価格(積算でなく)の関連を整理
仮に私の考えが正しいとして「貸家の積算=自用の積算」だったとします。
そして次の前提として、適正な賃料を前提とするならば
「貸家の価格(積算ではなく)と自用の価格はおおむね等しい」そして、
「一般的には価格(積算ではなく)は、自用>貸家になる」(ただし賃貸借契約の内容などにより貸家が上回る場合あり)というのがあります。

  • これは要説からの知識(p281の6行目から11行目前段の部分です)

これは適正な賃料であれば自用と貸家の価格はおおむね等しくなるが、借家人が居付きである分、若干貸家の価格が下回るということだと理解しています。(用途変更等に制約あり、すぐに最有効使用に供することができない)もちろんそれを上回るような高い賃料が徴収できていれば逆転もありえますが、ここではそれは考慮しなくていいですね。(くどいですが適正な賃料が前提)

■貸家の鑑定評価における積算価格の位置付けについて
ここまでが正しければ、貸家の価格を求める際の、「理論的には」同一の価格を指向する三手法による価格のうち、積算価格だけが居着きによる減価を反映していないのですから、積算価格が最も高い価格を示すはずです。(適正な賃料が前提なのはもちろんです。)

TACの答練の解説がいう

賃貸借契約の内容や管理運営の内容により上回ることもあり、上限値しての意義を有していない

というのはそもそも、
「なにがなにを上回るのか」がはっきりしませんが、「貸家の価格が自用の価格を」という意味ならば、「適正な賃料が徴収されていて、自用と貸家の価格がおおむね等しくなる」という状況から外れていますからあたりません。

次に「価格(鑑定評価額)が積算価格を」という意味であれば、居付きを考慮しない積算価格を上回る何がしかの試算価格がはじき出されるということになりますが、「適正な賃料が徴収されていて、自用と貸家の価格がおおむね等しくなる」様な状況において(極端に高い賃料が徴収されているわけでもない)そんなことが起こりうるのでしょうか。

そのようなことがありうる状況では、良好な賃貸借契約内容や経営管理に引っ張られて、「貸家の価格>自用の価格」となっているのではないのでしょうか。これも前提から外れてしまいます。

そういうことが(貸し手に有利な賃貸借内容、高度に良好な管理運営)無い状況(=貸家と自用の価格がおおむね等しい状況)では、上限値としての意義を有する、といっているのにそれを否定する解説で条件を覆しているような印象を受けます。

■結論
前提:『建物及びその敷地の経済価値に即応する適正な賃料が徴収されている場合』に
①自用と貸家の価格はほぼ同じ(貸家が上回ることは無い)
②貸家の三手法による価格のうち積算だけ居着きを考慮していない(=自用)から一番高い

が正しければ、

適正な賃料が徴収されていて自用と貸家の価格がおおむね等しい場合に、貸家の価格は積算価格を超えることは理論的には無いと思います。

あるとすれば、賃料が高水準であり、「居付きによる積算の減価<高い賃料から得られるメリット」となっていて、貸家の価格を求める際の三手法のうち、積算価格が一番高い値を示していないときですが(この場合一番高いのは収益ですかね)、この場合はここで前提としている「適正な賃料が徴収されていて、自用と貸家の価格がおおむね一緒になる」状況を前提としていませんから、今回の件ではあたらないと思います。

もちろんここまでの記述は理論をブンブン振り回しているだけで「現実の市場は〜」とか「実際の現場では〜」といったことを一切考慮していませんが、理屈だけ突き詰めるとこうなるのかなと思うのですが。そして問題で問われているのはとりあえず理屈かなと。

RS3さんがお持ちの書籍で「上限値として位置づけられ」ると書かれている部分ですが、その部分に「経済価値に即応する適正な賃料が徴収されている場合」という条件はないでしょうか?



以上が私の考えた結果です。
私の勝手な解釈が前提となっていたりと、つっこみどころ満載かと思いますがよろしければご意見などいただければと思います。