事情補正って?Ⅰ
久々の更新です。すみません。また鑑定理論について考えるところを綴ってみたいと思います。
比準価格とは取引事例の価格に所要の補修正を施して得られた価格を元に試算した対象不動産の試算価格です。
要は取引事例比較法を適用して得られた試算価格ですね。
この取引事例に施す補修正のうち、事情補正について取り上げてみます。
例えば3つの取引事例があったとします。
いずれの事例も対象不動産の同一近隣地域内に存し、かつ個別性の無い標準的な画地であり、さらに地価は横ばい推移をしていると仮定します。
つまり、標準化補正も地域要因の比較も時点修正も不要です。また対象不動産にも個別性が無いので個別的要因の比較も不要。
- A:50,000円/平方メートル
- B:75,000円/平方メートル
- C:40,000円/平方メートル
ただし、特殊な事情を含む取引があり、買主へのヒアリングの結果以下のような結果でした。
- A:「特に特別な事情は無く、相場で買ったと思う」
- B:「どうしても営業所を建てたかったので相場より50%高く買いました。」
- C:「親から売ってもらったので相場より20%安く買えました。」
この場合、事情補正をして取引事例から得られる価格はいくらになるでしょうか。
- A:50,000円/平方メートル(補正なし)
- B:75,000円/平方メートル ÷ 1.5 = 50,000円/平方メートル
- C:40,000円/平方メートル ÷ 0.8 = 50,000円/平方メートル
おっ、見事に3つの事例から得られた価格は一致しており、他の補修正は不要だから試算価格は50,000円/平方メートルだ!っとなりそうです。
私も実際に受験生の頃(といってもまだ1年前)はそう思っていたのでした。
理論的に正しい、間違っているという話は次回に回すとして、実際はこのような事情補正は行っていないと思われます。(すべてというわけではなく行っている場合もあります。)
つづく