鑑定評価理論

借地権残余法

この論点は、shujiさんのブログ→借地権残余法: 1日でも早く、不動産鑑定士になる!!にコメントしたのがきっかけで考えたことです。大変勉強になったのでまとめておきたいと思います。借地権付建物(貸家)の借地権の評価(部分鑑定評価)において、借地権残余…

ちょっと気になるニュース

1年半ぶりです。更新を再開するというわけではないのですがちょっと気になったニュースがあったので。 これです。 市有地賃料、安すぎた…大阪市、USJを提訴へ産経新聞 10月28日(木)13時5分配信 大阪市が、テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン…

継続賃料鑑定理論についての現状でのまとめ(2)

(2)意図的な高額契約が判明している場合の継続賃料鑑定評価(1)では差額配分法の優位性ということについて、私の意見を述べました。今回は、これが意図的に高額の賃料で契約したことが明らかな場合について考えたいと思います。何度も書いているのですが、貸…

継続賃料鑑定理論に対する現状のまとめ

先日、「継続賃料、こんなとき」、「継続賃料、こんなとき(2)」をアップして以来、コメント欄を通じて議論してきた中で私なりに到達した結論をまとめておきます。 まず、先般の議論の中で私自身が複数の論点をごちゃ混ぜにしており、コメント頂いた方とすれ…

継続賃料、こんなとき(2)

これの続きです。 継続賃料、こんなときもう考えるのよそうと思うんだけど・・^^;継続賃料というとやはり、紛争となって調停や裁判に結論をゆだねられることが多いと思います。そこで法的に賃料増減額がどのような場面で認められているかというと、借地借家…

継続賃料、こんなとき

店舗を想定します。新規契約時、賃借人がどうしても借りたいというので、本当は自分が店をしたかったのだが、相場の2倍でなら、ということで貸してあげた。10年後、賃貸人は賃料増額を申し出た。理由は 地価が何倍にもなった。 公租公課が2倍になった。 他の…

差額配分法のマイナス差額配分(2)

前回の続きです。 2008-09-17 - 不動産鑑定士への道(受験〜実務修習)個人的な結論をまず述べると、「マイナス差額も配分すべし」です。まず、基準に「増減」と書いてあるとかないとか、そういう話は特に意味が無いと考えます。 基準に書いてあるからよい、書…

差額配分法のマイナス差額配分(1)

10月末提出の実地演習の課題に賃料(地代・新規家賃・継続家賃)があって、いま家賃をやっているのですが非常にいろいろと考えさせられる部分があります。賃料の鑑定評価書を書くのは初めてなのですが、やってみて価格とはまた違った難しさがあります。すこし…

借地権付建物の賃料を求める際の基礎価格

10月提出分の実地演習でいくつか賃料の課題が出ており、賃料の鑑定評価について再度勉強しているのですが、表題のとおり、家賃評価において積算法を適用する際に求める基礎価格について、その建物が借地であった場合何を求めるべきか、ということを考えてい…

農地の同一需給圏について

農地の鑑定評価を行うにあたって、同一需給圏を把握するのに考えてみました。 ちなみに、農地を農地として評価するので、基準上は鑑定評価ではないことになります。(でもまあ、そういう仕事もあるのです。)農地といってもいろいろあって、転用目的の需要が考…

貸家の積算 その後・・

コメントやメールを頂き、参考にしていろいろと考えますが、結論は・・前提:・現行基準における積算価格 殊に不動産の物的価値からのアプローチ。 再調達原価は、同じ土地に同じ建物を建てるための、土地の取得費用と建物の建築費しか見ていない。 減価修正…

貸家の積算価格・・・

以下の文章は私が受験生のときにブログに書いたものです。 - [貸家の積算は自建の積算とは同じものか違うものか]誰か教えて。。今、ここに全く同じ物件「建物及びその敷地」が2件あったとする。地理的にも全く同じ位置にあることを想定する。(現実にはあり…

なぜ「還元利回り=割引率−元本の変動率×償還基金率」なのか

平成20年度短答式試験鑑定理論問29を解く上で出てきた公式です。この公式の内容については要説だけではわかりませんでしたので、他の本を見て根拠を見つけましたが、見てもあまり意味がわからないというか、式を変形して移項して両辺をXXで割って・・・・・…

個別的要因の作用

前回のエントリでは、個別的要因が価格に与える影響について書き、個々の要因が価格に与える影響は様々であると書きました。前回、住宅地では南道路が好まれるという一例を挙げさせていただきましたが、住宅地において常に南道路が好まれるかという点では、…

角地加算、二方路加算

通常、宅地の評価においては、1つの道路にのみ面している画地を標準として、角地や二方路(2つの道路に面する)画地はプラスの補正が行われます。もちろん、時と場合によりますから必ず角地や二方路の画地が価値が高いとは限りませんが、一般論としてはそうな…

マンションの再調達原価

実地演習の次回の提出分でマンションがあるのですが、マンションの鑑定評価について復習していて(評価経験ありません)、気付いたことがあります。それは、原価法適用における一棟全体のマンションの再調達原価の求め方なんですが、 私は 『(建設業者に支払…

敷金返還債務についての記述

以前、こんなエントリを書きました。2007-10-03 - 不動産鑑定士への道(受験〜実務修習) 2007-10-05 - 不動産鑑定士への道(受験〜実務修習) 2007-10-11 - 不動産鑑定士への道(受験〜実務修習)貸家及びその敷地の鑑定評価書に見られる、 「取引に際して買主が…

事情補正って?Ⅲ

事情補正って?Ⅰ - 不動産鑑定士への道(受験〜実務修習) 事情補正って?Ⅱ - 不動産鑑定士への道(受験〜実務修習)続きです。私は今でも比準価格は、「土地を取引した人がいくらが妥当と判断したか」の積み重ねで出てくる試算価格だと思っています。 つまり、み…

事情補正って?Ⅱ

事情補正って?Ⅰ - 不動産鑑定士への道(受験〜実務修習)前回の続きです。基準の留意事項には事情補正について以下のような説明がなされております。 事情補正について 事情補正の必要性の有無及び程度の判定に当たっては、多数の取引事例等を総合的に比較対照…

事情補正って?Ⅰ

久々の更新です。すみません。また鑑定理論について考えるところを綴ってみたいと思います。比準価格とは取引事例の価格に所要の補修正を施して得られた価格を元に試算した対象不動産の試算価格です。 要は取引事例比較法を適用して得られた試算価格ですね。…

敷金返還債務(3)

前2回↓ 2007-10-03 - 不動産鑑定士への道(受験〜実務修習) 2007-10-05 - 不動産鑑定士への道(受験〜実務修習) 引き続き 「取引に際して買主が敷金返還債務を引き継ぐ場合は、決済額は本件鑑定評価額から敷金金額を控除したものとなる」 についてです。さて、…

敷金返還債務(2)

前回↓ 2007-10-03 - 不動産鑑定士への道(受験〜実務修習) 引き続き 「取引に際して買主が敷金返還債務を引き継ぐ場合は、決済額は本件鑑定評価額から敷金金額を控除したものとなる」 についてです。引き継ぐ場合については前回のエントリで解決しました。し…

敷金返還債務 10/03少し修正

貸家及びその敷地等の鑑定評価書の最後の方で附記として「取引に際して買主が敷金返還債務を引き継ぐ場合は、決済額は本件鑑定評価額から敷金金額を控除したものとなる」という文章を見かけます。本当の評価書で見たことはないのですが、試験の模範解答など…

積算賃料の基礎価格

またまた間隔が空いてしまいました。 今週末は19年度の短答式試験ですね。昨年の鑑定理論は初お目見えということもあって比較的平易な問題でしたが、今年はどうなるのでしょうか?さて、今日は先日ご紹介したサイト「田原都市鑑定株式会社」のコラムを読んで…

各論第3章の新設

鑑定評価基準に各論第3章が新設されます。 施行は2007年7月1日です。基準改正の趣旨は国交省のWEBサイトからの抜粋で示すと以下の通りです。 我が国の不動産証券化市場の急速な進展に伴い、その健全な発展と透明性の確保のため、投資家や市場関係者に対し利…

更地の鑑定評価には・・・②

更地の鑑定評価には・・・①続きです。鑑定評価基準では、更地の鑑定評価には「更地並びに自用の建物及びその敷地の取引事例に基づく比準価格」と収益価格を関連付けて決定すべきものとされており、それでは貸家及びその敷地の事例を採用することはできないの…

更地の鑑定評価には・・・①

先日の基本演習では商業地の更地の鑑定評価をしたのですが、資料として取引事例がいくつか与えられていました。 その中から採用事例を選択し、不採用の事例には理由をつけることになっていました。 (3次試験や新制度試験の演習問題ではおなじみの形式です。)…

正常価格は「ある」価格?②

更新が遅くなってしまいました。申し訳ありません。さて、正常価格は「ある」価格らしいのですが、まず正常価格の前提となる「現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場」とは基準によると以下のような市場です。 (1)市場参加者が自由…

正常価格は「ある」価格?①

不動産鑑定評価基準(以下、基準)では不動産の鑑定評価について 不動産の鑑定評価とは、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格を、不動産鑑定士等が的確に把握する作業に代表される と記述してお…