マンションの再調達原価

実地演習の次回の提出分でマンションがあるのですが、マンションの鑑定評価について復習していて(評価経験ありません)、気付いたことがあります。

それは、原価法適用における一棟全体のマンションの再調達原価の求め方なんですが、
私は
『(建設業者に支払う建設費(適正な利益込)+通常の付帯費用)×建築面積』
でOKだと勘違いしていました。(よく考えればおかしいのはわかることですが)

たとえば戸建住宅なんかであれば上記で問題無いわけですが、マンションではこれでは駄目なのです。なぜかといえばマンションの購入者が直接建設業者に発注するわけでは無いからです。つまり最終需要者≠発注者だからです。
具体的には、これらの間にマンションデベロッパー(開発業者)が入ってきます。

マンションデベロッパーは土地を仕入れ、マンションを建設し、最終需要者に売ります。つまり、上記の式はデベロッパーが建設業者に支払う工事費であり、またその時点で負担する付帯費用なわけです。

これらは、マンションデベロッパーがマンションを作るために要した「原価」に過ぎないのであって、デベロッパーは当然ながらこの価格で売るわけではありません。これに自らの利益(や他の費用)を乗せて最終需要者に売るわけです。

つまりマンションの場合、一棟の建物の再調達原価は
『(建設業者に支払う建設費(適正な利益込)+通常の付帯費用)×建築面積
デベロッパーの管理費や利益』
となるわけです。

ちなみにこれを考えていて、どっかでこんな説明を読んだ覚えがあるな〜と思って「要説」を見返していたら、宅地見込地の評価のところにありました。

転換後、造成後の更地価格から通常の造成費相当額及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を控除する場合において、大規模な宅地造成の場合には最終需要者と建設業者との間に発注者としての宅地開発業者が介在するのが通例であるのでこれら宅地開発業者の投下資本に対応する適正な利潤相当額及びそれに要した諸経費等をも控除する必要があろう。

これも同じことですね。宅地をそのまま買うのではなく、大規模な開発がまずある場合は間に宅地開発業者の存在が考えられるので、その利益なども見る必要が出てくるということです。

いやいや、受験勉強のときはとりあえず「そんなもんか」と流していたのですが改めて見返してみるといろいろな発見があるものです。