貸家の積算 その後・・

コメントやメールを頂き、参考にしていろいろと考えますが、結論は・・

前提:

・現行基準における積算価格

殊に不動産の物的価値からのアプローチ。
再調達原価は、同じ土地に同じ建物を建てるための、土地の取得費用と建物の建築費しか見ていない。
減価修正も、物理的減価、機能的減価については、下方向にしか作用しないものだし、経済的減価についても、「近隣地域の衰退」とか「環境との不適合」とか「他の不動産と比べた市場性の減退」など下方向の視点しかない。つまり、再調達原価が上限値であり、対象不動産の積算価格はそこからどれだけ「落ちたか」で表される。

考えてみたい論点:
・貸家およびその敷地の積算価格とは

基準を読む限り、
「優良テナントで満室の貸家」と「普通テナントでエリア水準の空室を持つ貸家」
の積算価格は同じになるはずですがそれでいいのか。

考えた結果:

積算価格とは何なのかというのがまず大事だと思います。
費用面から対象不動産の価値にアプローチする価格だと割り切るのもひとつの考え方だと思います。
個人的には収益性を反映するのは非常に困難だと思っています。

が、仮に「3試算価格は費用性、市場性、収益性、それぞれの考えを織り込み、単独で正常価格を指向するものである」
というお題目を受け入れるなら、反映しなければ矛盾します。

私は「もう、無理なんだから、積算価格ってそういうもんだから」と言いたい気分です。

つまり、積算価格とは対象不動産と同じ建物を、(空っぽの状態で)同じ土地に建て、物的な減価を見た価格であり、
貸家としての個性(テナントの質、量、契約内容、賃料)なんかはまったく考えてない。だから貸家の鑑定評価では参考程度です。ということです。

ですが、まあ、それでいいのかという感じもしますので、反映させる方法も考えてみました。

行基準には前提で記したような下向きの発想しかありませんので、収益性に優れる場合に「増価」する方法はありません。
ということで、まず考えたのは、上向きの「増価修正」という概念を新設すべきなのでは?というものでした。

つまり、最近までは、積算に減価概念しかないのがおかしく、優れた物件に対して増価できないことがおかしいと思ってたんですよね。

だけど、いろいろ考えているうちに優れた収益性って再調達原価に対する「増価」なの?という疑問がわきました。

つまり

不動産投資をもくろむAさん、土地を購入してビルを建てました。
そしてものすごく頑張って時間とお金もかけて、超優良テナントと長期契約を結ぶことに成功しました!

という場合にですね、これを積算価格に反映しようとしたら、「増価」というより「再調達原価」でしょうね、と。
そういうことです。

今度は「再調達原価」とは何ぞや?になってきてしまうのですが、積算価格が、再調達原価を求めて、増減価修正を行って求めるものだとしたら、まず
「このぐらいのテナントが付いている状態の貸しビルを今ここに出現させるのにどのくらいの費用がかかるか」
が再調達原価じゃないでしょうか?空っぽの状態のビルを作って「再調達」ではおかしいような。(収益性をも積算に反映させるなら、ですけど)

とまあ、とりあえず増加修正はいらなくなりましたが、どっちにするにしても、これを適正に反映出来るものなんでしょうか?

変に中途半端にやるならやらないほうがわかりやすいわ、と思ってしまいます。

出来ないからこそ、収益標準なんでしょうし・・。