正常価格は「ある」価格?①

不動産鑑定評価基準(以下、基準)では不動産の鑑定評価について

不動産の鑑定評価とは、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格を、不動産鑑定士等が的確に把握する作業に代表される

と記述しており、したがって

不動産の鑑定評価によって求める価格は、基本的には正常価格である

としています。

では、正常価格とは何なのでしょうか。試験に合格し、実務修習中の身でありながら未だにはっきりとしていない問題のひとつです。そこでこの問題について自分自身整理するためにもこのテーマについて執筆してみたいと思います。

まず、私が試験勉強として勉強した知識から正常価格を考えてみようと思います。

基準では正常価格について

正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。

と定義しています。そして、このあとに合理的と考えられる条件を満たす市場についての説明もされていますが、その意味するところは

『現実のマクロ経済・地域経済の動向、不動産の需給動向、不動産に関する法的規制、税制、市場参加者の属性や価値観、取引慣行などの社会経済情勢を所与とし、その一部を捨象したり理想的な条件に置き換えたりしないことを要請している。すなわち正常価格は「あるべき価格」ではなく、「ある(あるがままの)価格」である』

と勉強しました。

今、鑑定理論を勉強されている方も大体このような内容を勉強されているのではないでしょうか。私は勉強している当時からこの内容について若干の違和感を持ちながらも、述べられていることは正論のように思え、とりあえずこの通り理解し、試験や模試で問われたときもこの通り記述するつもりでした。

しかし、今じっくりとこの意味について考えてみるとやはり、勉強していた当時から持っていた違和感が解消せず、「ある価格」という部分が引っかかってしまいます。

何を言いたいのかということについては次回の更新にて述べたいと思います。