敷金返還債務(2)

前回↓
2007-10-03 - 不動産鑑定士への道(受験〜実務修習)


引き続き
「取引に際して買主が敷金返還債務を引き継ぐ場合は、決済額は本件鑑定評価額から敷金金額を控除したものとなる」
についてです。

引き継ぐ場合については前回のエントリで解決しました。

しかし、この文章からは「引き継がない場合は控除しない額である」とも読めます。これについて考えます。

私が疑問に思っているのは

「収益価格を試算するとき当然に敷金の運用益を収益に入れてると思うのですが、敷金を引き継がない場合、新しい所有者は敷金の運用益を得られないのにこれでいいのか??」

というものです。(なんか変なこと言ってそうだ・・)

まず、鑑定評価の目的が「資産評価」のような取引を前提としない場合には、敷金返還債務の移動もないので、現所有者の資産価値として敷金の運用益も含めた収益価格は問題ないです。

では売買の参考に供するためだったらどうか。

引き継ぐ場合は売買代金から敷金分控除することで実質的に敷金分が新所有者へ移動するのだから、当該敷金額を前提とした収益価格は妥当。

引き継がない場合(あるかどうかは別として冒頭のような文章を書くということは引き継がなくても鑑定評価額は妥当だといっているんですよね?)は・・
新所有者は鑑定評価額をもって売買代金として旧所有者に払うから、敷金の移動は無いことになる。

なのに払った代金の元となった鑑定評価額を決定する際に重視した(とここではしましょう)収益価格は、敷金があることを前提とした純収益をもとに試算されている。んーー?

なんかおかしい気がするんですが・・私が何か大きな勘違いをしているのでしょうか。

私が今考えているのは、売買を前提としたときには「敷金が引き継がれるものとして」鑑定評価をしているのではなかろうか?であれば「取引に際して買主が敷金返還債務を引き継ぐ場合は・・」との表現は適切ではないのではないか?ということです。

もちろん引き継がない場合があるのかという問題もあるし、それがほとんど無いのだから問題ないのかもしれませんが、冒頭の文章はいかにも引き継がないこともありうる表現だし・・
また、引き継がない場合の処理も、旧所有者が借主に敷金を返還して終わりとは思えず、その場合は新しい所有者に新たに敷金をいれることになるんだろうか?(考えれば考えるほどあり得ない気が・・)

もっとシンプルに、
『売買を前提とした鑑定評価で、敷金を引き継ぐ場合と引き継がない場合では、買い手が支払うべき代金額を鑑定する鑑定評価額は違うものになる可能性はないのか?さも敷金の金額だけやり取りすればOKという表現は妥当なのでしょうか?』

ってことですねー。

なんだろう・・。

続き↓
2007-10-11 - 不動産鑑定士への道(受験〜実務修習)