個別的要因の作用

前回のエントリでは、個別的要因が価格に与える影響について書き、個々の要因が価格に与える影響は様々であると書きました。

前回、住宅地では南道路が好まれるという一例を挙げさせていただきましたが、住宅地において常に南道路が好まれるかという点では、比較的画地規模の大きい農家住宅地域などではあまり考慮されないと考えられます。画地規模が400〜500平米程度ある場合は北側に寄せて家を建てることで南側に十分なスペースが確保できるからです。このような場合むしろ南道路は避けられるといった意見もあります。
南道路は常に効用が高いか

また、角地や二方路が常に好まれるかという点でも、「むしろ接面していないほうがありがたい」という場合もあり得ます。

図の1、2いずれも住宅地で200平米ぐらいとお考えください。
2は角地ですが、2の東側の道路は幅員2mの二項道路だったとします。
2の画地は1より好まれるでしょうか?

あくまで1つの考え方ですが、むしろ1より価値が下がってしまうことも考えられます。
なぜなら家を建てる際にはセットバックが必要となり敷地が削られてしまう。また幅員が狭いため側道があることによる日照、通風等のメリットも小さい。
メリットを上回るデメリットがあると考えられた場合は、2の画地の価値は下がってしまいます。「接面していないほうがありがたい」わけです。

もちろん、側道が二項道路に指定されていなければ(セットバック不要ですので)、1の画地と格差無しか、若干画地2が上になることも考えられます。
普通は接面道路が二項道路に指定されていることは喜ばしいことですが(家が建つので)すでに、他方でしっかりした道路に接面している場合には「指定されていない方がありがたい」ということもあります。