農地の同一需給圏について

農地の鑑定評価を行うにあたって、同一需給圏を把握するのに考えてみました。
ちなみに、農地を農地として評価するので、基準上は鑑定評価ではないことになります。(でもまあ、そういう仕事もあるのです。)

農地といってもいろいろあって、転用目的の需要が考えられる都市近郊の農地から、耕作目的の需要しか認められない純粋な農地まであります。
今回話題にするのは純粋な農地(田)です。
ということでまず、想定される需要者は「地元の農家」となります。転用目的の、例えば分譲地素地としての田であればもっと多様な需要者が考えられますが、耕作目的となると地元で農家をやっている人ぐらいになるかと思います。

次に、この需要者がほかの田んぼを買うとして、代替関係にあると認める範囲は?と考えると、実際に耕作する関係からそんなに広くは無いと考えられます。そこで、実際どのくらいの距離なら通って耕作できるものかと調べたところ、この距離のことを農地法で「通作距離」というそうです。
(農地法は勉強しましたがこの言葉は知りませんでした。)
農地法3条の許可の条件の中に、「通作距離から見て田んぼをきちんと管理できること」という趣旨の条件があるそうです。

ただしこれは、具体的に数値が決まっているわけではないみたいです。

以下、WEBより引用。

通作距離とは居住地から農地までのことです。各地域の立地状況や道路等の整備状況に応じて通作距離基準が定められています。
この基準は県や市町村によって異なるので、確認する必要がありますが、同一市町村内の農地であればおおむね大丈夫です。

ちょっと調べたところでは10キロから40キロまでと多様です。

例)WEBより

徳島県が示す通作距離に関する限度は原則として10km以内となっています。
倉敷市 通作距離が直線でおおむね片道40km以上,通作時間がおおむね片道60 分以上の場合、許可できない。

実際にどの程度の通作距離がとられているかはその地域によって異なっており、具体的に何キロぐらいという数値はわかりませんでしたが、対象不動産に対して想定される需要者の範囲は、これが参考にはなりそう。
基準風にいうと、
純粋な農地の同一需給圏は対象不動産と通作距離から見て代替関係の認められる範囲、なんてことになるのでしょうか。