実務修習の意味

新制度鑑定士試験における実務修習の位置づけとはどのようなものだろうか。

新制度鑑定士試験になり、合格者数が極端に絞られていき、試験合格自体が非常に難しい。
このような試験に合格したとあれば、『最終的に不動産鑑定士になれない』ということは合格者としても受け入れがたい(考えにくい)ことであり、実務修習の意味としては、合格者を指導・育成し、不動産鑑定士として育て上げるという位置づけが望ましいと思う。

そして現在のスタンスは上述の通りのはずである。落とす課程ではなく、全員が最終的に鑑定士になれるよう育成することが目的になっているはず。もちろん最終的にどうしても認められない人がいたとしても仕方が無いが、育成課程を経た後にも鑑定士としての力を備えていないと判断された場合、これは育成システムの不備として認識する必要があると思う。

たとえば去年は修了考査で2割の人が不合格となった。修習開始当初からの最終の通過率は6割ちょっとである。もちろん自分の都合でやめた人もいるだろうし、不合格になるべくしてなった人もいるだろうからそこは割り引いて考える必要があるが、この6割なり7割りといった数字は育成の結果としてどうなのだろうか。

第一義的に修習生自体が向上心と熱意を持って取り組み、情報収集を徹底し自己防衛すべきことは間違いない。その上で、この実務修習という制度が育成システムとしてより良い方向へ行くことを期待したい。